研究概要 |
放射性核種で標識したモノクロ-ナル抗腫瘍抗体(MoAb)による画像診断(Radiommunodetection)および治療(Radiommunotherapy)の有用性を検討するため、担癌動物を用いてin vivoにおけるMoAbの分布を観察した。用いたMoAbはC57BL/6マウスに自然発生したB16メラノ-マをマウスに免疫し、細胞融合法にて得た抗メラノ-マモノクロ-ナル抗体(M562,M2590,IgM)および抗リンフォ-マ抗体(IgM)である。(いづれも千葉大学谷口克教授提供)、M562およびM2590を各々エネルギ-および半減期の異なる放射性ヨ-ド(^<131>I,^<125>I)で標識して同時に投与し、オ-トラジオグラムで観察したところ、各々異なる腫瘍内分布を呈した。以上から二種類の異なった抗原決定基を認識するMoAbを同時に投与すると、検出感度が高まることが示唆された。 これらMoAb(M562,M2590)のオ-トラジオグラムの腫瘍内分布を病理組織標本と対比させて観察したところ、腫瘍内壊死巣に、より高度にMoAbが集積することが判明した。これは通常隠蔽されている腫瘍抗原が、発育する壊死巣では特異抗体の結合し易い環境となり存在するためと推定された。これらMoAbの腫瘍内分布の特異性を評価するため、同じIgMであるモノクロ-ナル抗リンフォ-マ抗体を同時に投与して集積率を測定した。メラノ-マへの抗リンフォ-マ抗体の集積率はM2590の約1/2であった。更に抗肺癌ヒトモノクロ-ナル抗体の腫瘍内分布をヒト扁平上皮癌を移植したヌ-ドマウスを用いて検討したところ、やはり癌壊死部で血液の19倍という高度の集積を呈した。今後発育増殖する腫瘍の壊死巣におけるMoAbの挙動と特異性を検討するため、免疫化学法およびミクロオ-トラジオグラムによる確認と、酵素抗体法による検定を試みている。
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