研究課題/領域番号 |
63570502
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
中河原 通夫 山梨医科大学, 精神神経医学, 講師 (50114773)
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研究分担者 |
朝田 隆 山梨医科大学, 精神神経医学, 助手 (90184142)
仮屋 哲彦 山梨医科大学, 精神神経医学, 教授 (60014023)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | β phenylethylamine / monoamine oxidase / affective disorder / gas chromatography-mass spectrometry |
研究概要 |
βフェニルエテルアミン(PEA)は、アンフェタミンと類似した構造式をもつ生体微量アミンで、脳内にも存在している。PEAの生体内での作用は、数多くの薬理学的研究から、ド-パミンとノルアドレナリンの作動性神経に作用して、ド-パミンやノルアドレナリンをシナプス内に放出するとともに、放出されたアミンの前シナプス膜からのとり込みを阻害して、これらのアミンの作用を増強する。また、PEAは脳内ではB型MAOによって代謝されることが知られている。 著者らは、躁うつ病や精神分裂病で異常が報告されている血漿中PEA濃度と血小板MAO活性について躁うつ病で測定を行い、躁うつ病の生物学的指標としての可能性を検討した。 血漿中PEA濃度の測定法はPEAが微量であり、よい測定方法がないところから、新しい定量法の開発を行い、GC-MSとキャピラリ-カラムを用いた100pgまで測定が可能な定量法を確立した。 うつ病の血漿中PEA濃度は、高値を示す群と、低値を示す群の二群にわかれた。PEAが低値を示す群では、デスメチルイミプラミンによる成長ホルモン分泌反応の反応性が弱く、3メトキシ4ハイドロキシフェニルエチレングリコ-ル(MHPG)が高値を示した。一方、PEAが高値を示す群では、デスメチルイミプラミンによる成長ホルモン分泌反応とMHPG値は正常値を示した。血小板MAO活性は、高値を示す症例もみられたが、健康成人との間に有意差は認めなかった。 以上の結果から、うつ病には臨床症状のレベルでは区別出来ないが、生化学的な異種性が存在し、血漿中PEA濃度は、うつ病の生物学的指標の一つとして役立ちうると考えられた。 これらの結果については、第17回国際神経精神病理学会のシンポジウムにおいて発表の予定である。
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