研究課題/領域番号 |
63570504
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 助手 (00179649)
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研究分担者 |
多田 國利 大阪大学, 医学部, 助手 (80135681)
播口 之朗 大阪大学, 医学部, 助教授 (10028459)
西村 健 大阪大学, 医学部, 教授 (70028455)
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キーワード | ニューロフィラメント / 蛋白分解酵素 / ライソゾーム / カテプシンD / 神経原線維変化 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
兎脳内にアルミニウムを注入して作製したアルツハイマー病モデル動物において、ニューロフィラメントを中心とした線維性蛋白が増生していることを示し、同時に、脳内ライソゾーム酵素の一つであるカテプシンDの活性が上昇している事を示した。このモデル動物から精製したカテプシンD酵素の性質を酵素学的に検討することにより、以下の知見を得た。 1.アルミニウム注入兎から精製したカテプシンD酵素は、酵素蛋白の分子量やアミノ酸組成には変化を認めなかったが、酵素活性に変化があり、正常兎の酵素と比較してKm値・Vmax値とも低下していた。 2.アルミニウム注入兎脳から精製したカテプシンD酵素はその熱安定性が損なわれており、正常酵素と比較して、不安定ものであることが明らかになった。 以上の所見は、脳全体ではカテプシンD活性が上昇しているにもかかわらず、精製した酵素蛋白当りの活性はむしろ低下していることを示している。この理由を解明するために、ライソゾーム酵素活性の変化の機序として、ライソゾームの安定性が変化しているのではないかとの仮説の元に、老齢動物、及び、アルミニウム注入動物のライソゾームの安定性を検討した。その結果、老齢動物では、ライソゾームの安定性が低下しており、ライソゾーム酵素が漏出しやすい状態になっていることが明らかにされた。又、同様の不安定性は、アルミニウム注入動物脳でも観察され、アルミニウムにより、ライソゾームが不安定化され、ライソゾーム内の蛋白分解酵素であるカテプシンDなどが細胞質内に漏出してくることが、アルミニウムによる神経細胞障害の機序として示唆された。今後は、培養神経細胞を用いて、以上の仮説を更に詳細に検討する予定である。
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