研究概要 |
1.NODマウスに依存するI型糖尿病発症抑制細胞の同定:NODマウスの糖尿病発症率は雌の70〜80%に対して、雄は10〜20%にすぎない。しかしサプレッサ-T細胞を障害するといわれているシクロホスファミド(CY)を投与すると、雌の発症は早まり、雄の発症律は高まる。たとえば、発症前の12週間齢の雄に150mg/kgのCYを投与すると、2週間以内に60〜70%が発症する。しかし1×10^8の未発症マウスの脾細胞の移入によって糖尿病発症は抑えられる。この抑制作用は4,8,12週齢のうち、8週齢のDonorで最も強かった。抑制作用はDonor脾細胞を抗Thy1.2または抗L3T4抗体と補体で処理すると失われたが、抗Lyt-2抗体と補体処理では影響を受けなかった。したがってnodマウスには糖尿病発症を抑えるL3T4陽性のT細胞を依存することがわかった。この細胞のクロ-ン化が新しい免疫両方につながる可能性がある。 2.内因性TNFによるNODマウスI型糖尿病発症の抑制:OK-432を3時間間隔で静脈注射2時間後のNODマウス血清には23単位/mlの、Balb/c血清には250単位/mlのTNFαが含まれていたが、1L-1,1L-2,IFNγは検出限界以下であった。これらの血清0.3mlをNODマウスに週2回、4週齢から復腔内投与し続けた。30週齢までの累積糖尿病発症率は、未処理対照で15/21(71%)、未処理マウス血清投与群で10/20(50%)に対して、OK-432投与血清群では3/20(15%)に抑制された(p<0.01)OK-432投与血清による糖尿病発症抑制効果は抗TNFα抗体による中和によって消失した。以上から、OK-432によるNODマウス糖尿病発症抑制の機序として、OK-432投与によって誘起された内因性TNFの関与が示唆された。
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