研究概要 |
第一にインスリン様成長因子(IGF-I)によって調節されるカルシウム透過性陽イオンチャンネルの存在を明らかにし,その電気生理学的な特性と細胞周期依存性を明らかにした。同時にこのチャンネルを介して実際にCa^<2+>が流入し細胞内Ca^<2+>濃度が増加することを明らかにした。第二にIGF-IによってCa^<2+>感受性の伝達系が活性化するかを検討した。この目的のためにCキナーゼ活性化物質であるジアシルグリセロール(DAG)に注目し,IGF-IがDAGを増加させるかどうかを調べた。 IGF-Iはいくつかの経路を活性化してDAGを増加させることが明らかになった。その中には近年インスリンによって調節されることが報告されているイノシトールリン脂質の一種であるフォヌファチジルイノシトールグリカンの分解作用,さらにフォスファチジルコリンの分解によるDAGの遊離があり,これらによって短時間のうちにDAGが増加する。さらにde noveの合成系を介した作用もあると考えれられ,これに関しては今後の検討が必要と考えられる。
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