研究課題/領域番号 |
63570536
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
橋本 浩三 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (60033370)
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研究分担者 |
景山 甚郷 岡山大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (00169393)
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キーワード | CRH / CRHmRNA / AVP / AVPmRNA / 絶水 / 飢餓 / 視床下部 / 下垂体後葉 |
研究概要 |
持続的ストレスのモデルとして絶水又は飢餓ストレスを3日間ラットに加え、視床下部・下垂体・副腎系及びバゾプレツシン(AVP)の産生分泌に及ぼす影響を検討して以下の結果を得た。 絶水群や絶食群(水のみ与える)のラットでは対照群に比し体重が有意に減少し、血漿ACTHやコルチコステロンはいづれも有意に上昇したが、絶食群でより顕著であった。又、絶水群では血漿AVPの著明な上昇が認められたが、絶食群では有意の変化が認められなかった。絶水群では視床下部や正中隆起部のAVP濃度は有意の変化を示さなかったが、下垂体後葉のAVP含量は対照群に比し有意に減少していた。Insitu hybridization法により検討したAVPmRNAは、AVPの産生部位である視床下部の室傍核や視索上核でシグナルの署明な増加を示した。一方、絶食群ではAVPmRNAのシグナルは視索上核で減少しており、室傍核に於いても大細胞群の領域で減少傾向を示した。CRH含量は視床下部、正中隆起部、下垂体後葉に於いて有意の変動を示さなかった。 以上より絶水ストレスの際にはAVPの産生分泌が著明に亢進しており、このAVPの分泌亢進がACTH分泌の亢進に少なくとも一部関与していると考えられた。一方、絶食ストレスの際の下垂体・副腎系の機能亢進にはAVPの関与は少ないものと考えられた。AVPmRNAの減少には、著明に上昇したコルチコステロンによるネガティブフィ-ドバックが一部関与していねものと考えられた。又、CRH濃度は有意の変動を示さなかったが、絶食ストレスの際の下垂体・副腎系の機能亢進には、CRHの分泌亢進の関与が推定されるため、現在CRHmRNAをin situ hybridzation法により検討中である。以上の如く、慢性ストレスにより下垂体・副腎系が亢進する場合には、ストレスの種類により関与するACTH放出因子が異なることが明らかにされた。
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