研究課題/領域番号 |
63570548
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
高野 加寿恵 東京女子医科大学, 内科, 助教授 (50096608)
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研究分担者 |
広瀬 紀子 東京女子医科大学, 内科, 助手
助川 泉 東京女子医科大学, 内科, 助手
安本 久美子 東京女子医科大学, 内科, 助手 (80151017)
肥塚 直美 東京女子医科大学, 内科, 講師 (80147397)
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キーワード | 成長ホルモン / 成長ホルモン治療 / 正常低身者 / 成長 / クロニジン治療 |
研究概要 |
〈目的〉最近、低身長者の中に成長ホルモン(GH)分泌刺激試験ではGH増加反応を示すが、24時間にわたり採血しGHを測定すると1日GH分泌総量が正常児よりはるかに少なく、又、GHの投与により下垂体小人症とほぼ同様の身長増加を示す病態の存在が明らかにされた。そこで我々もこの点についてこれら病態の解明及び治療について検討した。〈方法〉低身長を主訴として来院した患者のうち、明らかな原因疾患(各臓器疾患など)がみあたらない者にGH分泌刺激試験及び1日GH分泌量(血中及び尿中)の検査を行った。その後、治療を希望する患者にはクロニジン経口薬及びヒト成長ホルモン注射薬を投与してその治療効果を検討した。〈結果〉GH分泌刺激試験にGH増加反応を示した低身長者56名に持続採血装置を装着させ、24時間にわたり20分毎に少量採血してGH分泌動態を検討した。24時間の平均血中GH濃度が正常児より少なく5ng/ml以下の症例は21例であった。これら症例の尿中GHは5〜15ng/gcrに分布しており、24時間の平均血中濃度と正の相関関係を認めた。更にこれら症例の血中TSHを24時間にわたり測定したところ、血中TSH値の比較的高値を認めた。これらのことより、これら症例の1日GH分泌量の低下には視床下部のソマトスタチン(GH分泌抑制ホルモン)分泌増加ではなく、むしろGRF(GH分泌刺激ホルモン)分泌が低下していることが考えられた。これら症例のうちクロニジン負荷試験でGH分泌増加の見られた8例にクロニジン(0.15mg/kg/m^2/d)を6ヶ月以上投与して、成長に及ぼす結果を検討したが、明らかに身長の伸びが増加したものは1例のみであった。他の13例にhGH(0.1IU/kg/d)を6ヶ月投与したところ、11例で身長の伸びの増加を認めた(4.0±1.0cm/年→8.1±1.1cm/年)。身長の伸びと相関する因子を検討したが、暦年令、骨年令、1日GH分泌量等には相関しなかった。今後更に症例を重ね考察する予定である。
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