研究概要 |
初年度において約100症例のリンパ性白血病細胞についてその表面抗原と細胞内抗原との相関について検討した。またT細胞系腫瘍細胞についてはT細胞レセプタ-遺伝子、免疫グロブリン遺伝子の再構成について併せて検討した。本年はされに80症例に及ぶ臨床例の検討を加え評価できる163症例について前年度に引き継いで検討を行いリンパ性腫瘍の合理的で簡便な分類法に関して研究を行った。 表面抗原による分類ではB細胞系腫瘍細胞113症例の内CD19単独陽性のStageI9症例、CD10,CD19陽性のStageII63症例、CD19,CD10,CD20陽性のStageIII32症例であり表面免疫グロブリン陽性細胞は9症例であった。この群で表面免疫グロブリン陰性細胞群に関して細胞内免疫グロブリンとの比較を行った。その結果細胞内免疫グロブリンはCD19,CD10,CD20の出現とは関係なくそれぞれの段階で陽性であった。B細胞系腫瘍細胞の分類は汎B細胞抗原(CD19,CD20)→細胞内免疫グロブリン→表面免疫グロブリンの順番で分類する方が合理的であると考えられる。 T細胞については表面抗原からは汎T細胞抗原陽性のStageI13症例、CD2,CD1,CD4,CD8陽性のStageII8症例、CD3陽性のStageIII6症例であった。表面CD3陰性細胞について細胞内CD3とT細胞レセプタ-遺伝子、免疫グロブリン遺伝子について検討した。細胞内CD3はStageIでは出現せず、全例StageIIであった。またこの段階の細胞ではT細胞レセプタ-遺伝子はすべて再構成していた。従って細胞内CD3抗原の同定による成熟段階の推定法がより簡単で正確と考える。 ペルオキシダ-ゼ反応陰性腫瘍細胞は骨髄系抗原陽性の非リンパ性白血病、HLA-DR陽性の分類不能型、骨髄系抗原とリンパ性抗原が同時に陽性の骨髄系リンパ性型、に加えてB細胞系腫瘍では汎B細胞抗原陽性の前駆B細胞型、細胞内免疫グロブリン陽性のpre-B細胞型、表面免疫グロブリン陽性のB型細胞に分かれる。T細胞系腫瘍は汎T細胞抗原陽性の前駆T型細胞型、細胞内CD3陽性pre-T細胞型、表面CD3陽性T細胞に分類する。
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