研究課題/領域番号 |
63570574
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
入野 昭三 香川医科大学, 医学部, 教授 (50033056)
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研究分担者 |
ナカ゛イ マサミ 香川医科大学, 医学部, 助手 (40180450)
窪田 良次 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (90178054)
池田 和真 香川医科大学, 医学部, 助手 (50176088)
田中 輝和 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (20155146)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 分化誘導 / 1α・25(OH)_2D_3 / カルシウム / カルシウム結合タンパク質 / リポコルチン / C-キナ-ゼ / HL-60 |
研究概要 |
白血病細胞における分化誘導の機構の解明という研究課題に対して、急性前骨髄球性白病細胞株HL-60を用いて、次に挙げる知見を得た。 1、HL-60細胞は、1α,25(OH)_2D_3(以下_3)及び、ホルボ-ルエステル(以下TPA)により単球系細胞へ、レチノイン酸(以下RA)及び、ジメチルスルホキシド(以下DMSO)により顆粒系細胞に分化誘導されるが、D_32及び、TPAにより単球系細胞へ分化されたHL-60細胞において細胞内遊離カルシウム濃度の有意な上昇を認めたが、RA及び、DMSOにより顆粒系細胞に分化誘導されたHL-60細胞では細胞内遊離カルシウム濃度の有意な上昇は認めなかった。 2、カルシウム拮抗剤のジルチアゼム(>50μM)は、D_3と併用する事により単球系細胞への分化を促進した。この促進効果においてカルシウム拮抗作用活性の異なるジルチアゼムのふたつの光学異性体間で差異は認められなかった。ジルチアゼム単独でも軽度ではあるが、顆粒系細胞への分化が認められた。また、ジルチアゼムは、RAによるHL-60細胞への分化も促進した。 3、C-キナ-ゼ阻害剤H-7はD_3による分化誘導を有意に抑制した。 4、単球系細胞及び、顆粒系細胞に分化誘密されたHL-60細胞において、アクチンの重合及び、ホスホリバ-ゼA_2の活性を制御するカルシウム結合蛋白質リボコルチンの量的増加が、ウエスタンブロッテイング法を用いて確認された。 以下の事実により、HL-60細胞の単球系細胞への分化に細胞内遊離カルシウム濃度の上昇が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。分化誘導後短時間(1-3分)内に上昇したカルシウムイオンの分化誘導における作用メカニズケにつき検討を加えた結果、C-キナ-ゼの活性化を介して分化に関与している可能性や、カルシウム結合蛋白質リポコルチンの発現、誘導を介して分化に関与している可能性が示唆された。今後これらの機構を詳細に検索していく予定である。
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