研究課題/領域番号 |
63570587
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北村 道彦 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10153131)
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研究分担者 |
志賀 清人 東北大学, 医学部, 助手 (10187338)
高屋 潔 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60188092)
西平 哲郎 東北大学, 医学部, 講師 (50101142)
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キーワード | 消化器癌術後の呼吸不全 / 多核白血球の活性酸素産生能 / 多核白血球のライソゾーム酸素含有量 / 多核白血球の補体レセプター活性 |
研究概要 |
I.食道癌手術齢を対象とし、手術侵襲が多核白血球 (PMN) 機能、膜表面抗原に及ぼす影響を検討し、以下の点が明らかとなった。 (1) チトクロームC還元法と化学発光測定 (ルミノール依存性) で求めたPMNの活性酸素産生能は手術により1〜3病日をピークとして上昇し、7病日まで持続した。 (2) PMN由来の血中エラスターゼは術後上昇するが、β-glucuronidaseを示標として求めたPMNライソゾーム酵素の含有量は逆に低下し、ライソゾーム酵素の放出現象を裏づける結果となった。 (3) immunofluoresense flow cytometryで求めたPMNの補体レセプター (CR_3) は術直後より上昇し、PMNの活性酸素産生能の上昇に先行していた。II.食道癌術後の肺機能の検討から以下の点が明らかとなった。 (1) 肺内水分量の増加は2〜3病日がピークであり、肺内シャント率、膠質浸透圧の低下も3病日前後がピークであった。 (2) 臨床的にも肺合併症は3病日をピークとして発症していた。III.I、IIの結果より、PMNの機能の変化と肺機能の低下は3病日前後をピークとして推移することが明らかとなり、消火器癌手術後の呼吸不全の発症にPMNが関与する可能性が示唆された。従来呼吸不全に対しては人口呼吸器の使用等の対症療法が主であったが、今後PMN機能亢進に対する蛋白分解酵素阻害剤やSODの使用など、より根本的な治療法の必要性が明らかとなった。IV.補助金により購入したクリーンベンチは、PMN研究に欠かせない無菌操作を確実なものとし、実験の精度を上げ、より詳細な検討の施行に大きく貢献した。また補助金の一部は各種試薬 (Ficoll Hypaque、チトクロームC、TPA、FMLP、サイモザン) や各器具 (試験管、Bouden chember) の購入にあてた。
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