研究課題/領域番号 |
63570587
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
北村 道彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (10153131)
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研究分担者 |
神谷 彰 秋田大学, 医学部, 助手 (80204626)
泉 啓一 秋田大学, 医学部, 講師 (60176237)
橋本 正治 秋田大学, 医学部, 講師 (70175701)
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キーワード | 消化器癌術後の呼吸不全 / 多核白血球の活性酸素産性能 / 血中補体値 / 血中顆粒球エラスタ-ゼ値 |
研究概要 |
前年度に引続き、食道癌手術例を対象として、手術侵襲が多核白血球(PMN)機能におよぼす影響を検討した。化学発光測定法によるPMNの活性酸素産性能は3病日をピ-クとして上昇した。血中C3aと低酸素血症の指標として用いたrespiratory-M-indexの変動をみるといずれも3病日にピ-クをとって変動しており、これら3者の変動には統計学的に有意の関連性が認められた。 一方、顆粒球エラスタ-ゼは術直後にピ-クをとって変動しており、過酸化脂質は術後むしろ低下して推移していた。superoxide dismutase(SOD)は有意の変動を示さず、tumor necrosis factor (TNF)も1例を除き検出されなかった。以上より、顆粒球エラスタ-ゼ、過酸化脂質、SOD、TNFの4者に関しては、低酸素血症の変動とは少なくとも直接的には関連のない変動を示すものと考えられた。 以上の結果より、食道癌に代表される消化器癌術後の重大な合併症である低酸素血症の発生原因としては、補体の活性化によるPMNの活性化、特に活性酸素産性能の亢進が大きく関与していることが明らかになった。従来術後の低酸素血症の原因はmicroatelectasisが主因と考えられ、人口呼吸を中心とした換気面での対症的な治療が中心であったが、今後は蛋白分解酵素阻害剤やSODの使用など、より根本的な治療法が必要なことが明らかとなった。
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