研究概要 |
ラット副腎におけるpー450遺伝子とprotーoncogeneであるcーfos,βーactinおよびcーmyc遺伝子の発現調節を下垂体摘除ラットを用いて研究した。すでに報告したように,ACTHはステロイド合成の律速酵素であるコレステロ-ル側鎖切断酵素(pー450 scc)mRNAを増加させるが,最初に増加が認められるのはACTH投与3時間後である。一方cーfos mRNAは投与後30分であった.ウシpー450遺伝子の5調節領域にはAPー1結合領域と似た部位が認められるため,eーfos mRNAをpー450 scc mRNA増加のtime courseから考えればpー450 scc mRNAの増加にはcーfos産物が関与している可能性が示唆された。今後,ACTHがcーfosと同様cーjun遺伝子の発現も増加させるのか,また,pー450sccに認められるAPー1結合領域が機能性のものであるかどうかなど検討する必要がある。なお,ACTHはラットSertoli細胞と同様にcーfos遺伝子発現は増加させたが,cーmyc遺伝子発現には影響しなかった。従って,副腎細胞でのACTH作用の発現にはcーmyc遺伝子の発現は必要ないのかもしれない。また,βーactin mRNAはコントロ-ル群でも発現が認められ,下垂体摘除によっても変化しなかった。
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