研究課題/領域番号 |
63570597
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 満一 大阪大学, 医学部, 助手 (50162160)
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研究分担者 |
河合 稔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
金井 俊雄 大阪大学, 医学部, 助手 (50205051)
門田 守人 大阪大学, 医学部, 講師 (00127309)
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キーワード | Islet transplantation / Antigen modulation / γーirradiation / AntiーLymphocyte serum / MHC class II |
研究概要 |
平成元年度は、flow cytometryを用いて移植抗原量の量的解析を行ない、また、γーirradiationとAntilymphocyte serum(ALS)によるantigen modulationを検討した。 1.Flow cytometryを用いたラ島内MHC class II陽性細胞の量的検討:Wister ratのラ島を分離し、single cell suspesionとしたのち、FITC conjugated mouse antiーrat MHC class II抗体で処理し、ラ島内のMHC class II陽性細胞の量的解析を行った。しかし、ラ島の大部分を占める内分泌細胞の自家蛍光が、抗体と結合したMHC class II陽性細胞に匹敵する蛍光強度を持つため、MHC class II陽性細胞のin vitroでの同定は困難であった。そのため、antigen modulationの効果は、以下のin vivoの実験系で検討することにした。 2.抗リンパ球血清(ALS)によるラ島の生着延長効果:DBA/2からB6AF_1の系で、recipientにのみALSを投与(day-2)すると、200日以上の長期生着が7例中2例に認められたにすぎないが、donorにもALSを投与すると(day -5,-2)、7例中8例が長期生着した。このことより、ALSはrecipientの免疫抑制効果のみならず、antigen modulationとしての効果を有するものと考えられた。 3.γーirradiationによる生着延長効果:DBA/2からB6AF_1の系で、移植ラ島をγ線照射し(2400rad)移植すると、対照群がすべて18日以内に拒絶されたの対し、16例中8例が50日以上生着した。また、CsA(100mg/kg/2days ip)を2週間投与することにより11例中10例が長期生着した。以上より、γーirradiationは免疫抑制剤の投与・非投与にかかわらず、antigen modulationとしての効果を持ちうることが明らかとなった。これらの方法は、膵ラ島移植の臨床応用に於いて有効な手段となりうるものと考えられた。
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