本研究は、早期に治療を要する外科疾患胎児に対し、胎児診断を実施し、早期に娩出した後に外科治療を加え、人工子宮システムによって人工保育することにより治療成績の向上を目的としている。本年度は、人工子宮装置の開発に研究の主眼をおいて実験をすすめた。そこで、まず胎児を直接収納、保育するガラス槽及びガラス槽を保温するためのアクリル水槽を作製した。さらに胎児保育の血液循環回路として、流量センサー、可変リザーバーを組み込んだ閉鎖式補助循環回路を試作し、膜型、人工肺、血液濾過膜を接続した。予備実験として、雑種幼犬の頸動脈・頸静脈にカニュレーションし、実験回路で血液灌流を行った。実験犬は無呼吸下に約6時間の短期生存実験を行った結果、本法が人工子宮装置として胎児実験に使用可能であることが確認された。今後、胎児犬を対象とし、臍帯動脈、静脈をカニュレーションし経路にした、水中保育を行ってゆく予定である。
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