研究課題/領域番号 |
63570601
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田中 紘輝 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (00163519)
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研究分担者 |
石部 良平 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30223027)
本屋 敏郎 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助教授 (60166345)
平 明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30041289)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 多臓器移植 / 頑固な下痢 / denervation |
研究概要 |
密接な関連を有する腹部多臓器(肝・胆・膵・脾・胃から大腸までの消化管)を同時に同所性に移植することは、単一臓器とは異なった免疫反応を研究することが可能である。また移植した単一臓器の機能のみならず、肝・膵・腸管の複数臓器のとらえにくい体液及びホルモンを介しての臓器相関の研究も可能となり、重要な実験モデルである。このモデルを用い、長期生存実験を行っていく上での問題点は数多く存在するがこの中、免疫抑制剤の投与が長期生存につながるかという事と頑固な下痢の病態につき検討した。実験動物はすべて雑種豚を用いた。 1.免疫抑制剤の投与及び剔脾の影響:移植後免疫抑制剤を投与した群、しなかった群、グラフトの剔脾を行った群の3群に分けて検討した。免疫抑制剤はプレドニゾロン1mg/kg/日、サイクロスポリンをトラフレベルで300ng/mlを目標に投与した。3日以上生存した14頭の平均生存日数は12日で3群間に有意の差を認めなかった。各群の最長生存例にそれぞれ1頭づつGVHD様変化がみられた。 2.頑固な下痢の病態:移植を行わないdenervation単独群、移植のみの群、移植後免疫抑制剤(FK506)を投与した群の3群に分けて検討した。各群とも、ほぼ全例に2〜3.日目より激しい下痢が生じ、体重減少が著明となり漸次衰弱していった。空腸の病理組織学的検査では、免疫抑制剤非投与群では、粘膜及び粘膜下層への著明な炎症細胞の浸潤、cryptisisを認めた。 [結語]腹部多臓器移植を行い長期生存を得るための問題点につき検討し以下の結論を得た。(1)免疫抑制剤投与、それにグラフトの剔脾を追加した群に於いても生存期間の延長は認められなかった。(2)慢性の頑固な下痢は免疫抑制剤では軽減できず、拒絶反応やGVHDの関与以前にdenervationやリンパ路遮断によるところが大きい。
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