研究課題/領域番号 |
63570602
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
土屋 敦雄 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (10117674)
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研究分担者 |
君島 伊造 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00161547)
阿部 力哉 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70004629)
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キーワード | フローサイトメトリー / DNA / 胃癌 / 大腸癌 / ploidyパターン / 生存率 |
研究概要 |
腫瘍の生物学的悪性度の評価におけるFlow cytometryによる癌細胞核DNA量測定の意義を検討した。方法:核DNA量は40μmのパラフィン包埋ブロック3切片を脱パラフィン後、0.25%トリプシンにて37℃15時間インキュベートし、単離裸核細胞とした。これをVindelφvの方法によりpropidium iodideにて核染色し、Epics Flow Cytometerにて測定した。CV値8%以下のものを評価可能とし、ヒストグラムの解析はDNAindex(DI)=1をdiploid、DI≠1をaneuploidとした。結果:大腸癌92例についてパラフィンブロックより核DNA量測定をした。diploid49例(53%)、aneuploidは43例(47%)であった。核DNA量と臨床病理学的因子である腸瘍占居部位、肉眼型、組織型、Stage、P因子、H因子、n因子及び壁深達度とは有意の相関はえられなかった。Kaplan-Meier法にてploidyパターン別累積生存率を求めた。diploid群の5年、10年生存率はそれぞれ65.7%、44.3%であるのに対し、aneuploid群のそれは35.1%、23.4%で有意(P<0.01)にaneuploid群は生存率の低下していることが示された。更に、同一病期進行度における生存率は両群に有意差はなかったが、aneuploid群の生存率が低下する傾向を認めた。またStageを規定する因子の陰性例における検討では、Po及びHoにおいて有意差(P<0.01)をもってaneuploid群の生存率の低下がみられた。胃癌235例のついても同様な検討を行ったところ、diploid155例(66%)、aneuploid80例(34%)であった。組織型別によるploidyパターンの出現頻度に差はみられなかった。5生率はdiploid64%、aneuploid46%であり、有意差はないもののdiploidが予後良好な傾向を示した。そこで、分化型でdiploidを示す群と低分化型でaneuploidを示す群を比較すると、それぞれ68%、22%で前者が有意(P<0.05)に良好であった。 以上によりFlow cytometryによる核DNA量の解析は腫瘍の悪性度評価に有用であった。
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