研究概要 |
自然発症糖尿病BBラットに対し膵移植を行い、その推移、とくに移植膵の糖尿病再発ならびに糖尿病性血管病変の効果について検討した。 13〜15Wで発症したLike由来のBB/W Shi(RT1^U)をrecipientとし、発症初期と4ケ月間インスリン治療後の2時期に膵移植を行った。donorは生後6ケ月以上経過の未発症non diabetic BB(DR-BB)ラット(RT1^U)と発症しがたいdiabetic resistant BB(DR-BB)ラット(RT1^U)のMHC適合の2種を用い、血管吻合する同系全移植を行った。8ケ月間CVまたはSPFで飼育し、経時的に体重、血糖、尿糖の測定とiv GTTを、さらに膵生検を経時的に行い、HE、AF染色に供した。膵移植により糖尿病BBラットにおける体重減少、耐糖能異常、血糖が改善されたが、膵移植ラット29例中6例(21%)に糖尿病の再発を来した。うちdonorがDP-BBでは22例中6例、27%、再発症の日令は14,19,24,110×2,123日であった。これに反しDR-BBラットでは再発症がみられなかった。糖尿病再発ラットの移植膵島には単核細胞の浸潤、B細胞の脱落などinsulitisが認められたが、非再発ラットの膵は正常の組織像であった。recipientとdonorとの飼育環境の差と糖尿病発症例との関係は、それぞれSPF、SPF:75%、SPF、CV、:12.5%、CV SPF:16.7%、CV:9.1%でSPF、SPFでは高率に発症した。 既存の糖尿病性細小血管病変に対する膵移植の効果を知るため、腎病変をとりあげ、移植前・後2,4,8カ月と腎生検し光顕、電顕により形態学的に検索した。糖尿病発症4カ月の光顕では糸球体メサンギウムの拡大、電顕ではメサンギウム領域の拡大、GBMの肥厚が認められた。膵移植により、これら既存の腎病変の進展がみられず、膵移植が中期病変の進展を阻止する効果が得られた。
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