研究概要 |
昭和63年より平成元年にかけ実施した実験研究は以下の各項目のごとくである。 (1)イヌにおける膵十二指腸グラフトの膀胱吻合による移植 (2)従来の手技によるイヌにおける膵十二指腸グラフトの空腸吻合による移植 (3)FK506,サイクロスポリン,フレテニンなど様々な組み合わせによる免疫抑制法 (4)メタホリックケーシ内でのイヌの飼育と採尿および尿中アミラーゼ検査ならびに採血および血清生化学検査 (5)イヌの同腹の仔の間での膵十二指腸移植 以上の実験結果は以下のごとくである。 (1)膵十二指腸グラフトの膀胱吻合による手技では,膵十二指腸液の尿中喪失により著しい低Na,低K血症が起こり,膵外分泌機能障害による下痢,瘰痩が起こるため長期生存を得るのは困難なことが判明。 (2)しかし,この手技で,血中尿中アミラーゼ,ブドウ糖,pH,インスリンなどの定量分析により,拒絶反応診断の可能性が示された。 (3)各種免疫抑制による生存成績は,無処置対照12.7±1.1(SD)日,サイクロスポリン20mg/kg,81.3±14.1日,FK506,0.1〜0.3mg/kg 43.4±25.1日であった。 (4)組織適合性が良好な同腹犬の生存成績は438.0±176.9日である。
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