研究課題/領域番号 |
63570609
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
猪原 節之介 北里大学, 医学部, 助教授 (90101295)
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研究分担者 |
古山 登隆 北里大学, 医学部, 講師 (60165503)
宇津木 龍一 北里大学, 医学部, 講師 (60151908)
内沼 栄樹 北里大学, 医学部, 講師 (90146465)
塩谷 信幸 北里大学, 医学部, 教授 (80050376)
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キーワード | 創傷治癒 / 胎児 / 器官培養 / 創閉鎖 / 表皮化 / ラット |
研究概要 |
胎児期での創傷治癒の特徴は、炎症反応を伴わず、また瘢痕を残さないことが知られるが、未検討課題が多い。私達は、観察および解析が容易であるin vitro培養系を主要な実験系としてラット胎仔の創傷治癒についての検討を行なってきた。本年度の研究成果の概要は以下の通りである。 1.胎令12日ラット胚の前肢芽を切り採り、Dulbecco変法Eagle培地中で培養を行ない表皮による切断部の創閉鎖を観察した。無血清培養下では表皮による創閉鎖は全く認められないのと対照的に、10%牛胎仔血清または2%UltroserG存在下での培養では、培養24時間以内に創閉鎖が完了した。培養5日の間、間充織の組織分化は認められないが、表皮は一旦細胞間空隙が広がり、その後多層化するという変化がみられた。この創閉鎖は、血清濃度依存的におこり、またcycloheximideにより可逆的に阻害されることから、タンパク合成を必要とする現象であると考えられる。さらに血清中有効因子についての検討結果より、これは25KD以上の高分子因子であることが判明した。 2.胎令16,17,18日ラット胎仔口唇に作成した手術創のin vivoでの治癒を観察し、瘢痕残存の程度が手術時に胎令に依存するか否かの検討を行なった。これらの胎仔手術創ではいずれも組織学的瘢痕は認められないが、主に真皮部の再生不良による肉眼的瘢痕の出現率は胎令16日から18日にかけ大きな増加傾向がみられ、一概に胎仔創傷は無瘢痕治癒するとは言えないことが判明した。現在は、この点について長期経過観察中である。
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