研究概要 |
I atropine負荷時のOddi筋運動 これまでOddi筋の調節因子として体液性調節機構との関連から内外因性CCK負荷時のOddi筋運動について検索し,胆汁排出機転における同調節機構の重要性について報告した。今回,Oddi筋の神経性調節機構の把握の一環としてatropine(0.01mg/kg)を5例に投与し検索した。この結果,3例ではatropine投与前後におけるOddi筋運動のmotility indexにほとんど変化がみられず,他の2例でも56.1±7.6%と略々半分の低下がみとめられたにすぎなかった。ちなみにCCK負荷時のOddi筋運動のmotility indexは20分間にわたり平均0.9%(p<0.05)と顕著であった。このことから胆汁排出機転におけるOddi筋の調節因子としての神経調節機構はその意義は極めて少ないものと考えられた。 II Oddi筋運動と胆道X線映画の2現象記録 先に胆汁排出機転におけるOddi筋収縮運動のphysioloigic roleについて同時性収縮群について検索し,Oddi筋収縮運動は胆汁排出を促進するのではなく抑制することを明らかにした。今回,上行性収縮5波形を対象とした。この結果,Oddi筋のphasic contractionの収縮持続時間は1.1±0.2秒,弛緩相1.5±0.2秒でこのうち波形出現開始よりNDS narrow distal segment完全閉鎖までの所用時間は0.5±0.1秒で,収縮相の35±2%に相当するものであった。そして先の検索と同様に胆管内造影剤の十二指腸への排出は,Oddi筋運動波形出現時に阻止され,その消失時期に一致していた。またOddi筋運動波形と十二指腸運動との関連についてみると,5波形いずれも十二指腸乳頭近傍の二十指腸収縮に続いて出現するのが観察され臓器相関の重要性がうかがわれるところである。
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