研究課題/領域番号 |
63570618
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 勇太郎 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80190544)
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研究分担者 |
五十嵐 裕 東北大学, 医学部, 講師 (70101144)
千葉 庸夫 東北大学, 医学部附属 病院, 助教授 (70110658)
大井 龍司 東北大学, 医学 部附属病院, 教授 (50004734)
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キーワード | 短腸症候群 / 先天性胆道閉鎖症 / 吸収電位 / 胆汁酸 / ミセル化能 / 不攪拌水 層 / カイロミクロン / 脂質 |
研究概要 |
我々は従来より、小児外科術後の短腸症候群と先天性胆道閉鎖症術後の 栄養管理およびfollow upにて糖、アミノ酸、脂質代謝を検討してきた。昨 年度、本研究費を用い以下の研究を行ったので結果とともに報告する。1.短腸症候 群におけるfollow up:小児にては残存小腸50cmあたりに栄養素吸収の 限界があり、脂質に関しては残存小腸50cm以下では便中胆汁酸、なかでも一次胆 汁酸の増加に伴い下痢が増悪し便中脂肪排泄の増加を見、必須脂肪酸欠乏に傾くこと がわかった。2.動物実験にて胆汁排泄障害モデルを作製、清浄用脂肪乳剤の腸管吸 収に関してコントロール、胆汁排泄障害モデル群、前記モデルにUDCA付加投与群 にて血中脂質、カイロミクロンの変動を検討した。その結果、胆汁排泄障害モデルに てもやや時間の遅れはあるが血中脂質、カイロミクロンの上昇がみられ、静注用脂肪 乳剤、即ち長鎖脂肪酸はミセル化されなくとも吸収され得る事が、またUDCA付加 にては脂肪乳剤の吸収は促進されない事がわかった。3.臨床例にて胆道閉鎖症の患 児の胃内に脂肪乳剤のみ投与、脂肪乳剤と自己胆汁投与、脂肪乳剤と自己胆汁に加え UDCAの付加投与の3群にて腸液ミセル濃度、血中脂質、便中脂肪排泄量の変動を 検討した。その結果、いずれの群でも腸液中ミセル濃度は極めて低かったが、対象群 に比し、自己胆汁およびUDCA付加群では血中カイロミクロンは上昇し、便中脂肪 が少ない傾向にあった。すなわち先天性胆道閉鎖症の術後早期には、胆汁が出ている とはいえその機能は正常とはほど遠く、清注用脂肪乳剤の様な長鎖の脂肪酸は膵リパ ーゼの消化により直接、もしくは乳化剤の親水性により不攪拌水層を通過し腸管吸収 を可能にすると思われた。
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