研究概要 |
(1)貪食性、オプソニン活性、活性酸素産生能を中心にした肝マクロファージの機能と病的状態におけるその変動形態。高度肝硬変において肝マクロファージの貪食能、活性酸素産生能は著明に低下、閉塞性黄疸では、活性酸素産生は亢進、激症肝炎モデルでは貪食能、オプソニン活性低下等の成績が得られた。即ち、肝マクロファージの変動形態は一様ではなく肝障害の種類と程度に応じた変動を示すことが明らかになった。(2)(4)肝マクロファージの抗腫瘍活性の誘導、増強とBRMの効果。無処置ラットの肝マクロファージにおいても、種々の腫瘍細胞(K562、YACー1、P815)に対してin vitroにおいて、軽度の抗腫瘍活性を有した。この抗腫瘍活性はBRM(OK432、IL_2、LPS、IFN〓)のin vivo,in vitro投与により有意に増強した。又、マクロファージをin vivoで抑制することにより、肝への移植腫瘍の増殖度が高まる成績が得られつつある。又、BRMは抗腫瘍活性をも有する各種サイトカイン(TNF、IL_1)やO_2^-の産生を亢進することも明らかになった。(3)肝マクロファージのChemical mediator産生能。肝マクロファージがO_2^-、プロスタグランディンE_2、インターロイキン1、TNFの産生能を有することがin vitroにおいて確認されたが、この産生は病態肝において著明に変動することが示された。即ち、肝硬変におけるIL_1の上昇、PGE_2、O^2^-、TNFの低下、閉塞性黄疸におけるPGE_2の上昇等である。これが肝の諸病態と如何に関連するかにつき検討中である。(5)活性化肝マクロファージの肝細胞に対する障害作用。敗血症において肝障害が生ずる現象は臨床的に知られており、本動物実験においても腹膜炎ラットで明らかな肝障害が生じた。このときの肝マクロファージのO^2^-、TNF、PGE_2、IL_1の産生は著明に亢進していた。そして、この活性化肝マクロファージと肝細胞とのCo-culture、或いは肝マクロファージの上清移入により、肝細胞の蛋白合成が抑制されることが明らかとなり、肝障害発生における肝マクロファージの関与が示された。
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