胃切除後患者の骨変化について、従来行ってきた骨量計測による実態調査から、男性の43%、女性の72%に骨萎縮が認められ、術式別には胃部分切除よりも胃全摘後に、術後経過期間では5年以上の長期経過後により、高頻度であることが判明した。 当該年度においては、胃切除後、同一患者の骨量動態を経時的に観察するとともに、骨障害の予防に関し、ビタミンD(α-D_3)投与の意義についての検索をすすめてきた。 いまだ、検索症例が十分ではないが、 1.胃切除後の骨量低下(骨萎縮)は1年以内にははとんど認められないが、1〜2年以上に及ぶと、漸次骨量が低下し、その低下は可齢変化を除外しても有意に高頻度であることが明らかになってきた。 2.骨障害の予防としてα-D_3投与群と非投与群にわけて経時的な骨量変化を観察中であるが、対象例が少なく、今後さらに症例の集積が必要である。 3.骨障害例の治療についてのα-D_3投与の効果を検討しているが有意義な結果をみるに至っていない。今後さらに症例を重ねるとともに他剤併用による検討も必要と考えている。
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