胃切除後患者の骨変化について、骨量動態を中心に従来行ってきた調査を本年度も継続してきた。また、胃切除前後、同一症例についての経時的な骨量変化を観察し、骨障害発現の実態について検討した。骨障害の予防について、ビタミンD投与の意義、さらに骨量低下例に対するビタミンDの効果などの治療面でも骨量変化の観察を行った. 1.胃切除後長期経過例では約半数に骨量低下(骨萎縮)がみられるが、男性より女性に高齢度の傾向がある。これには加齢変化に加え閉経後の骨萎縮が関与していることが考えられる。 2.胃切除の影響による骨障害の出現は術後1〜2年と意外に早い時期にみられるが、このような障害例の背景因子はなお不明確である. 3.骨障害の予防ならびに治療におけるビタミンDの投与効果については有意義な結果を得るには至らず、今後さらに検討されねばならない。 以上、従来からの研究成果をとりまとめて報告する.
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