研究課題/領域番号 |
63570637
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
田村 勝洋 島根医科大学, 医学部, 講師 (80155259)
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研究分担者 |
長見 晴彦 島根医科大学, 医学部, 助手 (50180518)
樽見 隆雄 島根医科大学, 医学部, 講師 (10135907)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 部分膵移植 / 血管血流 / 組織血流 / 遠位脾動静脈瘻 / Prostaglandin I_2 / Thromboxane A_2 / 保存時間 / OKY-046 |
研究概要 |
部分膵移値片の組織血流とその生理について実験的、臨床的に研究し、以下の結果を得た。1.(1)脾摘により血管血流は著明に減少するが、膵組織血流も平行して減少し、これらは血栓形成の環境因子となる。(2)遠位脾動静脈瘻造設により、血管血流は脾摘前値あるいはそれ以上に上昇し、組織血流はこれと友平行して増加、回復する。(3)このことから遠位脾動静脈瘻は血栓予防の観点から有用と判断し、膵自家移動臨床8例に適用したところ、全例において血栓は発症せず、移植膵機能も満足であり、その有用性が臨床的に証明された。2.次に、完全にdenervateされた移植膵片の血流調節について血管作働性物質プロスタグランディン(PGI_2、TxA_2)を想定して実験的に研究し、以下の結果を得た。(1)単純冷却保存(4℃Euro-Collins)中でも膵グラフトからPGI_2とTxA_2は分秘されるが、これは保存7時間までが活発である。(2)保存3時間群と保存24時間群に分けて観察すると前者はPGI_2優位であり、後者はTxA_2優位である。(3)膵グラフトを自家移植して血管および組織血流をコントロ-ル(in situでの血流)と比較したところ、いずれの血流も3時間群では有意に増加し(reactive hyperemia)、24時間群では逆に低下した。この時、PGI_2/TxA_2比は血流と正相関した。(4)移植膵の生着率は3時間群で80%、24時間群で20%と前者が有意に良かった。(5)TxA_2合成阻害剤OKY-046を保存液に添加したところで、PGI_2/TxA_2比は上昇し、血流面でも組織学的膵細胞viability面でも有効であることが実験的に証明された。以上の結果から、移植膵片からのPGI_2、TxA_2の分秘動態は移植後のグラフト血流に影響し、特にPGI_2/TxA_2比はその指標となる。保存時間が長くなればこの比は低下し、移植後の血流は少なく、生着率も悪い。TxA_2合成阻害剤OKY-046はこの比を上昇させ、血流面でも膵細胞viability維持の面でも有効で臨床応用に期待がもてる。
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