研究課題/領域番号 |
63570638
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
浜崎 啓介 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (90172965)
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研究分担者 |
柏野 博正 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30204374)
上川 康明 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (00152851)
三村 久 岡山大学, 医療技術短期大学部, 教授 (80116508)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 肝十二指腸間膜切除 / 門脈二重バイパス法 / 肝阻血耐容性 / 肝エネルギー代謝 / 肝組織血流 / 肝組織形態 / 全身循環動態 |
研究概要 |
1.基礎的研究:雑種成犬モデルによって門脈二重バイパス法における肝内門脈への動脈血送血量の安全域の上限と下限について検討した。 (1)肝組織内エネルギー代謝の検討から、肝門部肝血行遮断時に肝内門脈へ送る動脈血の最低必要量は、総肝血流量(門脈血流量と固有肝動脈血流量の和)の10%と25%の間にある。 (2)肝組織形態の検討からも(1)と同様に最低必要量は10%と25%の間にあることが裏付けられた。また、流量が多すぎるとグリソン鞘に浮腫がみられ、安全域上限は50%と75%の間にあると考えられた。 (3)門脈二重バイパス中の全身循環動態は、総肝血流量の0%から75%までは特に問題なかったが100%では全身循環を安全に維持しえなかった。 以上、(1)から(3)までの実験結果から、肝門部肝血行遮断時に肝内門脈に送る動脈血の安全域の下限は10%と25%の間に、上限は50%と75%の間にあると考えられる。 2.臨床的研究:門脈二重バイパス法を用いて手術を施行した胆膵領域癌症例の周術期における循環動態、生化学検査値の検討から本法の安全性が確認できた。 本法は、肝十二指腸間膜一括切除のために考案された方法であり、1988年4月までの手術例12例では5例に肝動脈浸潤、6例に門脈浸潤がみられており、いずれも高度の進行例であった。このため本法をもってしても50%の治癒切除率にとどまった。また、三例を術後二ヵ月以内に失っている。 これらの結果から、今後は術前診断の段階で病巣局所の進行度の正確な把握と全身状態を総合的に評価し、手術適応をしぼりこんで本術式を施行する必要があると考えられた。
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