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1988 年度 実績報告書

Liposome-Adriamycinによる転移性肝癌の治療と防止;特に経門脈的投与による基礎的臨床的検討

研究課題

研究課題/領域番号 63570646
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

由良 二郎  名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90079997)

研究分担者 水野 勇  名古屋市立大学, 医学部, 講師 (20157506)
四ツ柳 智久  名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (40080189)
キーワードliposome / liposome-adriamycin / 経門脈投与 / 転移性肝癌 / 家兎VX2腫瘍
研究概要

Liposome-Adriamycinはその性質より、正食水または蒸留水の溶液として保存するには問題があり、また調製法が繁雑であり臨床使用しずらいものであった。そこで、今回我々は、バイアルビンごとにliposome50mgとadriamycin(ADM)10mgとを含むものを凍結乾燥法にて製作しこれを使用した。調製はバイアルビンごとに超音波法にて行ない、そのliposomeのADM含有率は平均32%であり、粒子径は平均219.8nmであった。実験ではこのliposome-ADMをゲル瀘過をせずにfree-ADMを含むままで使用した。家兎を使用した経門脈内投与の検討では、投与後2時間の末梢血ADM濃度がliposome-ADM群では平均0.083μg/ml、free-ADM群では平均0.039μg/mlとliposome群が有意に高値を示しその徐放効果を認めた。また組織内濃度の検討でも、投与後2時間の肝及び腫瘍の組織内ADM濃度がliposome群で平均11.54μg/gと5.26μg/g、free-ADM群で平均4.22μg/gと3.42μg/gとliposome群で高値を示し、心及び肺ではliposome群で平均5.75μg/gと6.37μg/g、free-ADM群が平均8.17μg/gと10.21μg/gとliposome群で低値を示した。liposome-ADMの経門脈投与における副作用の検討でも肝機能や末梢血像等に特に異常値を認めなかった。以上の結果よりliposome-ADMはfree-ADMよりもより高い抗腫瘍効果と副作用の軽減が期待された。そこで、家兎の腸間膜静脈よりVX2腫瘍を投与した転移性肝癌モデルを作製し転移抑制効果を比較したが、liposome-ADM群はfree-ADM群より有意に転移を抑制した。同様のモデルで抗腫瘍効果について検討したが、平均生存日数がcontrol群が32日、free-ADM群が40日に比べ、liposome-ADM群は投与後100日の時点で74日、生存率が50%と有意にその延長を認めた。現在、より高い含有率のliposome-ADMを製作する製剤及び調製方法を検討中である。また、monocyte-macrophage systemへの影響についても検討中である。

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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