研究概要 |
1.胃癌組織内のERの局在についての検討ーーー胃癌組織内のERの局在を通常の10%ホルマリン・パラフィン標体を用いて、モノクロナールER抗体を使用して、ABC法による免疫組織染色で検討した。ERの陽性率は、29.8%で、女性の方が男性に比し若干陽制率は高かった。年齢との関係では、女性は若年者程陽性率が高く、男性は関係がなかった。組織型では低分化癌にER陽性率が高かった。スキルス癌でもER陽性率が高かった。 2.胃癌組織内のPgRの局在についての検討ーーーERと同様の染色法で、PgRの胃癌組織内の局在を検討した。胃癌細胞の核内にPgRの局在を認めた。PgRの陽性率はERに比し、9.8%と低かった。低分化型、スキルス癌に陽性率が高かった。 3.胃癌組織内のERの局在と予後ーーー胃癌治癒切除症例を検討した所、術後3,000日で、ER陽性胃癌の予後は同陰性胃癌に比し有意に不良であった。 4.スキルス胃癌に対する内分泌療法ーーースキルス胃癌の術後にタモキシフェンを加えた内分泌化学療法をおこない、術後の遠隔成績をみると、内分泌加療群の方が予後良好であった。次に、スキルス胃癌にMPA(黄体ホルモン)療法をおこない、1年の経過にて、投与例の方が予後良好である。 5.ヌードマウスを用いたMPA療法の基礎的検討ーーーMPA投与群の方が胃癌の増殖抑制を示しており、胃癌の株を変えて検討中である。 今後は、ヒトスキルス胃癌患者の術前に、タモキシフェンとMPAを投与し、癌細胞の周期を検討したい。
|