研究課題/領域番号 |
63570648
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
吉野 肇一 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 専任講師 (10101982)
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研究分担者 |
松井 英男 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (50209483)
會澤 健一郎 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (20202442)
深瀬 達 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (90199159)
大谷 吉秀 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (20168983)
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キーワード | IV型コラゲナ-ゼ / 癌の転移 / 蛋白分解酵素 |
研究概要 |
1.胃癌の生物学的悪性度の指標としてのIV型コラゲナ-ゼの意義 胃癌の進展ないし転移には基底膜を破壊することが必要である。ここでいう基底膜とは胃粘膜上皮(発癌個所)を囲むものだけでなく、胃癌が血行、リンパ行に侵入する際の血管、リンパ管をとり巻くものも入る。この基底膜の主成分はIV型コラ-ゲンで、IV型コラ-ゲンは生体内では一般にIV型コラゲナ-ゼによって特異的に分解される。そこで胃癌組織内で癌の先進部のIV型コラゲナ-ゼ活性値がその胃癌の生物学的悪性度を反影する可能性がある。そこでわれわれの確立した組織内IV型コラゲナ-ゼ活性値測定法を用いて検討したところ以下の成績を得た。方法論の詳細は本用紙裏面11、研究発表[図書]欄に記載した業績に記載されている。IV型コラゲナ-ゼ活性値の単位はμg collagen degraded/h/mg proteinで表した。 (1)組織学的脈管侵襲との関係:組織学的脈管侵襲の著名な群では1.36±0.30(n=17、M±SEM、以下同様)、そうでない群では0.83±0.21(n=17)であった(P<0.1)。 (2)リンパ節転移との関係その1。原発巣の大きさとの関連:原発巣が小さいのにもかかわらずリンパ節転移が高度の群では1.74±0.39(n=3)、そうでない群では0.72±0.16(n=8)であった(P<0.025)。 (3)リンパ節転移との関係その2。原発巣の深達度との関連:原発巣が浅いのにもかかわらずリンパ節転移が高度の群では1.18±0.28(n=7)、そうでない群では0.44±0.13(n=6)であった(P<0.05)。 以上より癌組織内のIV型コラゲナ-ゼ活性値はその癌の生物学的悪性度を表す指標の一つとなること、その抗体作成などによる癌治療の可能性があることが示唆された。 2.各種癌細胞と線維芽細胞のcoculture:現在進行中である。
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