抗ウイルス剤の検討と、In vitroにおけるイムノグロブリンの産生能ならびB細胞の分化誘導因であるILー6について検索をした。イムノグロブリンの産生能はEBV抗体価が高値な癌患者程低下しており、さらにウイルスに対する特異抗体の産生能も低下していた。ILー6の産生能は反対にEBV抗体価が高値な患者程有意な増加を認めた。また健常者と比較しても癌患者は高値であった。以上の結果はEBV感染によって液性免疫能の低下が起きる事を示したものである。一方癌患者でEBV抗体が高いと云う現象については、担癌状態における免疫系の低下とともに、ILー6の関与が示唆され、ILー6はVCA抗原産生ウイルスの活性化を促し、一方ではVCA抗体を産生する細胞の分化誘導因子として働いている可能性が考えられる。次に抗ウイルス剤の検討としてグリチルリチン(GL)を用いてIn vitroで行なった。GLはEBVーNA抗原陽性細胞の増殖抑制は認められたが、VCA抗原産生の抑制については現在続行中である。
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