研究概要 |
胸部大動脈を環状切除し欠損部を作成して同部を有茎広背筋々弁を円筒状に形成した代用血管を間置することにより再建する方法は,すでに昨年度までの研究により以下の結果を得ている。1)開存率は100%(8頭/8頭),2)仮性内膜の良好な再生,3)長期観察では大動脈径の軽度の拡張を認めるも,動脈瘤の形成はない。 この結果に加え,本年度は汚染手術と同様の条件下に実験犬5頭を用い以下の実験を行った。結腸内容を大動脈吻合部に接触させた後,充分量の生理的食塩水にて胸腔内を洗浄し,同様の方法にて大動脈再建を行った。その結果,5頭中1頭を全身感染にて失ったが生存例では,1)大動脈再建部に感染は認められなかった,2)仮性内膜の再生状態は良好で,非感染実験例とほぼ同様の状態であった。3)比較的短期間の観察ではあるが,吻合部や筋弁事態に動脈瘤の形成は認めなかった。
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