研究概要 |
1)カリフオルニア大学化学教室のKahl助教授より堤供されたBTPP(boronotetraphenylporpuyrin)を、犬の自然発生骨肉腫をヌ-ドマウスに移植したものの皮下に注射し、経時的にアルファ・オ-トラジオグラフィによりこの硼素化合物の腫瘍へのとり込みを観察した。(複数の担腫瘍マウスに当該化合物を皮下注射しておき6,24,48,72時間ごとにマウスを屠殺し全身を凍結し薄片としたものを硝化セルロ-ス腹に貼り、これに原子却で熱中性子を照射し、硼素原子から発生するリチウム、ヘリウムの痕跡をフィルム上に記録する。) その結果、従来胸腫瘍治療に用いられてきたmercaptoundecahydrododecaborateと異なり、注射後6ー24ー48時間にかれて徐々に腫瘍内濃度が上昇し、硼素中性子捕捉療法に必要な硼素濃度が得られることを知った。一方で正常組識内濃度は遥かに低く、治療上好適であることも認められた。この物質はポルフィルレ誘導体のため生体の光に対する過敏性をもたらすことが考えられ、今回の実験中にもそのような過敏性を示唆する所見があった。この点も含めた毒性の検討が今後大切と考えられる。 本物質の生体内での分布・動態についてさらに詳細な研究をしたいと考えている。 2)従来から人体に用いられているmercaptoundecahgdrododecaborateについては従来に引続いて脳腫瘍でのとり込み、尻中への排泄、血中濃度を主とする調査が行われている。
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