研究課題/領域番号 |
63570667
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山田 則子 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 助手 (50107314)
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研究分担者 |
桜井 靖久 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 教授 (20010027)
由井 伸彦 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 助手 (70182665)
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キーワード | 細胞培養床 / 血管内皮細胞 / 官能基導入ポリスチレン誘導体 |
研究概要 |
異なる官能基(スルホン酸基、水酸基、四級アンモニウム塩)を導入したポリスチレン誘導体を合成し、それらの表面構造を解析するとともに、それらの表面上でヒト血管内皮細胞を培養し、高分子表面特性と細胞の接着性、増殖能、形態変化および特異的細胞機能との相関を明らかにすることを目的とした。 高分子材料はポリスチレン又はポリ(スチレン-CO-クロロメチルスチレン)共重合体をキャスト法によりフィルムとして、各官能基を固一液界面反応で導入し、各高分子表面はX線光電子分光(XPS)及び動的接触角測定法により解析した。血管内皮細胞はヒト臍帯静脈よりディスパ-ゼを用いた酵素法により採取し、10%FCS、ヘパリン、ECGSを含むDMEM培地で初代培養したのち、0.05%トリプシン-0.02%EDTA溶液で剥離したものを用いた。 細胞はポリスチレン表面にはほとんど接着せず、接着してもその形態は非常に不安定であったが、スルホン酸基を導入した表面上では細胞接着は増加し、血清含有培地ではスルホン酸基の導入率に関係なく高い接着性を示し、形態も安定していた。無血清の場合にはスルホン酸基の導入率に伴って接着率の増加を認めた。四級アンモニウム塩導入表面も高い細胞接着性を示した。またスルホン酸基と四級アンモニウム塩導入表面の細胞増殖能は市販の細胞培養用ディシュ(Falcon3002)と、同じであった。さらに血管内皮細胞の重要な機能であるプロスタサイクリン産生能を検討したが、各高分子表面上で顕著な差異を認めなかった。以上から細胞接着において細胞は高分子表面の官能基を認識しており、アニオン基、カチオン基では接着機構が異なることが示唆された。
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