研究課題/領域番号 |
63570668
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
秋山 一也 東京女子医大, 循環器外科, 講師 (20147424)
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研究分担者 |
土田 弘毅 東京女子医大, 循環器外科, 助手 (80150697)
今村 栄三郎 東京女子医大, 循環器外科, 講師(非常勤) (10075301)
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キーワード | 人工弁 / 異種生体弁 / グルタルデヒド処理 / エポキシ化合物 / 石灰化 / 架橋剤 / 抗石灰化効果 |
研究概要 |
血栓形成の少ない代用心臓弁として重用されている異種生体弁(Bioprosthesis)は、動物組織の異物/免疫反応を除外するため予めグルタルデヒド処理が施されている。しかしながら、コラーゲン架橋剤としてのグルタルデヒドは(1)石灰沈着をうけやすい。(2)「なめし」により弾力性が失われ自然弁とは異なる弁挙動をとる。そのための耐久性に劣るという欠点がある。これに対しエポキシ化合物はコラーゲンの架橋反応様式が理論的に石灰沈着をうけつけない事、そして生体組織本来の柔軟性や弾力性を損わないという特徴を持つとされる。本研究では動物実験によってこのようにな特性を評価し、グルタルデヒドに代る新しい異種生体弁処理手段の可能性を探った。 基礎実験として、ブタ大動脈弁をエポキシ化合物(商品名:デナコール)で処理したあと幼児ラットの皮下に移植した。4〜16週間後に回収しカルシウム沈着量を測定した。非処理の自然弁には1mg乾燥組織片中平均0.4μgの極微量のCaイオンを含むが、エポキシ処理組織片は移植後平均1.0μg内外にとどまっており、実質的に石灰沈着は受けていないことが知られた。一方グルタルデヒド処理を行った組織片は平均90〜170μgに達する高度の石灰沈着を認めた。引っ張り強度試験(Tensile strengtl)ではエポキシ処理弁はグルタルデヒド処理弁に勝る強度と弾力性を保持することが確定された。 以上の基礎的実験データから、エポキシ化合物はグルタルデヒドに比べ理想的なコラーゲン架橋剤といえる。臨床応用に至る第二段階の研究として現在心臓循環モデルを用いた水力学的弁機能、及び加速疲労耐久性試験、さらに動物心臓内への移植実験を立案、一部はすでに進行中である。
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