研究課題/領域番号 |
63570669
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
佐古 和廣 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80113736)
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研究分担者 |
西原 功 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90198490)
米増 祐吉 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30038666)
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キーワード | 脳虚血 / 中大脳動脈閉塞 / 痴呆 / アセチルコリンレセプター / オートラディオグラフィー |
研究概要 |
脳虚血後の学習能力の経時的変化をラットを用いて検討した。 方法:1)ラット左中大脳動脈を電気凝固にて閉塞し、虚血モデルを作製した。2)次にshuttleboxによる条件回避学習試験を虚血1週後、1ヵ月後に施行した。3)条件回避学習試験後、と殺し脳を取り出し、25μの凍結切片を作製し、^3H-N-methylQNBに1時間侵積後洗浄し、^3H感受性フイルムに密着させオートラディオグラフィーによりムスカリン性アセチルコリンレセプターを測定した。4)同一切片をH・E染色し、今回購入したマクロ写真装置により組織写真を作製し、オートラディオグラムの解剖学的同定及び組織学的変化を観察した。 結果:1)条件回避学習試験は1週後に開始したラットでは回避率はsham群86.1%に対して虚血群83.3%と有意の差はみられなかった。しかし1ヵ月後に開始したラットではsham群86.7%に対して虚血群79.0%と回避率の低下を認めた。2)組織学的変化では虚血測の尾状核線状体、感覚運動皮質に梗塞変性組織を認め、1ヵ月後のグループでは同側の視床の萎縮を認めた。しかし、梗塞以外局所的細胞変性、脱落は認めなかった。3)アセチルコリンレセプターは虚血1週後グループでは両側の感覚運動皮質、尾状核線状体の軽度低下を認め、1ヵ月後グループではその低下はより高度となり、新たに海馬、同側視床のVPL核の低下も認めた。 以上の結果は従来の脳血流測定の結果と合わせて考えると、虚血の直接及ばない海馬、視床といった遠隔部のアセチルコリンレセプターの機能低下を示唆しているが、アセチルコリンレセプターが特異的に障害されているのか、他のレセプターはどうか?また学習能力の低下との関連等今後より詳細な検討を要する。
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