研究課題/領域番号 |
63570672
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡 信男 千葉大学, 医学部, 助手 (40114251)
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研究分担者 |
堀江 武 自動車事故対策センター, 附属千葉療護センター, 院長
大里 克信 千葉大学, 医学部, 助手 (90125906)
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キーワード | 磁力線 / 神経刺激 / 大脳皮質 / 誘発筋電図 |
研究概要 |
本年度は臨床応用の可能性について検討した.今までの検討では,本法により被検者に有害な影響を与えるという結果は得られていない.臨床応用する上で解決すべき問題点としてコイルの小型化があげられる。著者の試作したコイルで経皮的大脳皮質刺激が可能なのは内径40mmが最小であった。この大きさでも運動野の局在を頭皮上より知るには大きすぎるが、15mmの移動で誘発筋電図の得られる筋が違うことが観察された。コイルがこの半分程度に小型化されれば、運動野の局在を実用的に十分な精度で知ることができると思われた。手術時にコイルを当てる場合は直接硬膜上より刺激が可能となる。この場合はさらに小さなコイルで皮質刺激が可能となる。現在、超小型コイルによる刺激装置を試作中であるが、今回の報告の時点では臨床例に使用するまでには至らなかった。しかし猫を使用した実験では、頭皮上より内径12mmのコイルに200Vの電圧を加えることにより誘発筋電図を記録できた。ヒトの硬膜上より刺激をする場合もこの程度の刺激強度で皮質刺激が可能ではないかと予想している。臨床例について経皮的大脳皮質刺激により、両側の母指球筋より誘発筋電図を記録した。全症例で痙攣などの重大な症状の出現はみられなかった。21例の片麻痺の症例について検査を行った。比較的軽い運動麻痺でも誘発筋電図が得られなくなる傾向があった。まだ症例が少なく臨床検査法としての価値を評価するには十分でないが、軽い片麻痺のある視床出血の例で、SEPは全く正常であるのに麻痺側の誘発筋電図が得られなかった症例があり、これはSEPでは得られなかった運動機能の評価法としての価値を示唆する結果と思われた。今後は最適の条件を決定して、臨床例を重ね、磁気刺激法の脳神経外科における価値についてさらに詳しい検討を進めたい。
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