研究概要 |
LAK細胞を用いた養子免疫療法をこれまでに16例の悪性脳腫瘍患者(初発3例,再発13例)に施行しているが,本治療法のための基礎研究として患者から得られた末梢血リンパ球を用いてin vitroでイニターロイキン-2によるLAK細胞の誘導を調べた。リンパ球サブセットの分析と殺腫瘍細胞能としてNK・LAK活性を測定し,IL-2の他にIL-1やインターフェロンなどのサイトカインや脳外科領域で使用するステロイドや抗てんかん薬によるLAK細胞の誘導や殺細胞能に与える影響について検討した。培養システムにつていはカワスミ化学のCR-TISSUEシステムを用いた長期大量培養や,CD3に対する抗体を用いて少量のリンパ球からの大量のLAK細胞を誘導する方法を試みた。 研究成果 1.臨床成績としてはCT上明らかに残存する腫瘍7例のうちCR1例,MR1例で他の5例には効果が認められなかった。CTで明らかな残存腫瘍のない9例については1例を除いて再発せずに3-12カ月以上生存している。 2.LAK細胞とIL-2投与後の局所の病理所見を調べると,著明な好酸球の浸潤と内芽組織が形成されており,LAK細胞の局所投与の問題点が指摘された。 3.サイトカインや薬剤の影響ではインターフェロンβ,ステロイド,プロスタグランディンが誘導を抑制したが,一旦誘導されたLAK活性には大きな影響を与えなかった。 4.長期大量培養システムや抗CD3を用いる方法は現在検討中である。
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