研究課題/領域番号 |
63570675
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉田泰二 ヤスジ 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (70126465)
|
研究分担者 |
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
大浜 栄作 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50018892)
生田 房弘 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20018592)
|
キーワード | 脳腫瘍 / 実験的神経膠腫炉腫瘍血管増生 / 糸球体様血管 / 内皮細胞増殖 / 細胞動態 / 反応性血管増生 / 発達期脳血管増生 |
研究概要 |
ヒト神経膠腫の組織学的特徴の1つである糸球体様血管(GBV)の生物学的性質は未だ未解決の問題が多い。本研究は、実験的にエチルニトロソウレア誘発ラット神経膠腫を作成し、その中に形成されるGBVの形態的・細胞動態上の特色を明らかにすることを第1の目的とした。その結果、1.中枢神経系に占拠性膠腫を形成した23膠腫中、13膠腫にGBVが認められた。2.GBVは星状膠腫、異形突起細胞腫、異形膠腫などの組織像が複数混在した混合型膠腫に多く出現していた。3.膠腫GBVの中心部には血管間葉組織が高頻度で存在し、GBVは花冠状配列を示した。4.GBVの第VIII因子関連抗原の発現は、他の腫瘍血管に比し亢進がみられた。5.GBV内皮細胞のS期細胞標識率は、他の標識率との間での相関は見られなかった。6.GBVは、神経以外に発生した腫瘍にはみられなかった。以上の結果は、GBVが膠腫の中にほぼ特異的に形成され、しかも膠腫を構成する腫瘍細胞の増殖能とは必ずしも一致しないことを示している。従って、GBV形成機序には、腫瘍細胞や腫瘍内間葉系細胞による血管成長因子の関与が強く示唆された。本研究目的の第2は、神経膠腫ないの血管増生と脳血管の発生初期に盛られる血管増生並びに腫瘍以外の病変に対する脳血管の反応性増生に認められる内皮細胞の形態学的特徴との比較検討であった。現在まで、GBVでしばしば出現する有窓性内皮細胞は、発生初期の脳血管にも存在する事のGBVの三次元構築は、発達期脳血管並びに脳梗塞の反応性血管増生期の血管と良く類似した血管形成増を認めることが明らかになった。すなわちこれら3者の血管新生には、共通した物質の関与が強く示唆され、その作用機序の解明を推進することが今後の重要課題と考えられた。
|