ラット視床網様核の構造と細胞の特徴について調べた。250gから300gの体重のラットを1%パラフォルムアルデハイドと1%グルテアルデハイド固定液で潅流固定した後、50mmの厚さで切片を作製した。H-E染色後、鏡検し、同定した。視床網様核は外髄板との形態を成しており、視床の外側、背外側、および前面を取り囲んでいた。大きさは、約2.5×3.0×2.5mmであった。この大きさは定位脳手術台の上ではBregmaから後方へ1.3から3.8mm、正中から外側へ0.9から3.9mm、骨表面より深さ4.6から7.1mmに位置していた。視床網様核は内包を経由する大脳皮質への求心線維および遠心線維によって不規則な形状に分割され、この網状構造がこの核の名称の由来であることが理解できる。視床網様核は形状が複雑で、吻側における前核群との境界は不明瞭であり、尾側においては背外側から視床後核群に移行していた。また腹側では狭を介して不確帯に移行していた。これらの区別には、視床網様核が粗な細胞密度であるのに対して他方は密であることが鑑別となった。視床網様核の細胞の形状や大きさにはバリエーションがあるが、最も一般的と思われる特徴は以下のごとくであった。約15×10mmの小さな紡鍾形をしており枝は中心部に位置していた。各細胞は極性があり、ほぼ全て視床と皮質との結線に直交するように配列していた。細胞密度は1.39×10^5/mm^3であり、不確帯が1.74×10^5/mm^3であるのに対して、来年度より、上記核内にガラス微小管を挿入し、神経標式物質を注入し、神経連絡を調べる予定である。
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