研究概要 |
(1)自家血大槽内注入にてくも膜下出血兎を作成した(計32羽)。(2)水素電極を皮質と視床に挿入し、自会血注入前、注入30分〜6時間後の局所血流量を測定した(対照2羽、注入4羽)。バルビタールにて皮質、視床血流量は27ー35ml/100g/分(以下省略)と低下し、3〜6時間で43〜62mlと正常化した。注入例では30分後20〜25mlと低下し、3〜6時間後では35〜42mlと対照より20〜30%低下した。6時間後のオートラジオグラフィ法との対比ではほぼ同じ範囲にありよく相関した。注入後2日目、4日目(4羽)の対比では、両測定法ともに40ー55mlのところにあり、血管写による椎骨脳低動脈経の変化^<1)>とは無関係にあった。(3)局所赤血球含有量を^<51>CrRBC法を用いて検討した(14羽)^<51>Cr放射能値が低いため、パンチして採取した脳組織重量と井戸型カウンタによる計測から算出した。 正常例の皮質視床ともCBVは3.2±1.0%とポジトロンCTで得られた値より低値であった。自家血注入2日後ではCBVは 2.3±1.5%、4日後では 2.5±1.4%、7日後では 2.3±0.4%と、対照値より低くかつポジトロンCTで得られた臨床例の結果とは異っていた。(4)微細循環の指標としてまず、インデアンインク注入による毛細血管充えいをみた(8羽)。 自家血注入30分後では、皮質、視床ともに明らかに毛細血管の充えいが少ないが、2日目、4日目においては、いずれの部位でも対照群と大きな有意義の差をみつけることはできなかった。太田^<1)>が明らかにした毛細血管自体の機能的な変化を形態的に明らかにすることは不可能であった。これは家兎モデルが臨床症状を生ずることがないことから、軽症すぎる可能性がたかく、さらに重症モデルの作成が必要となる。(注:本学^<51>Cr使用量をこえたので岡山大学RI実験室を利用した)(^<1)>太田努:京府医大誌 97(6):751ー763,1988)
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