研究課題/領域番号 |
63570687
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
桐野 高明 帝京大学, 医学部, 助教授 (10161605)
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研究分担者 |
高木 清 帝京大学, 医学部, 講師 (40197059)
後藤 修 帝京大学, 医学部, 講師 (40134598)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
TAKUSAGAWA Yutaka Teikyo univ. School of Med., Assistant Pro (10179591)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 小脳 / プルキンエ細胞 / 顆粒細胞 / 虚血 / 細胞死 / 神経伝達物質 / グルタミン酸 |
研究概要 |
前年度までに得られた標本につき、詳細な形態学的観察を行なった。得られた標本のうち、10分間の脳虚血(頭蓋内圧を体血圧より上昇させることによる)の後の標本では、虚血後3時間から4日の全ての標本について正常とは異なる変化が見出された。3時間では約1/4のプルキンエ細胞がtoluidine blueやhematoxylinなどの塩基性色素に濃く染まった。6時間後にはさらにこの傾向が強くなり、全体の1/2以上が濃染した。染色性はプルキンエ細胞の細胞体・核・樹状突起などほとんど全域にわたっていた。濃染したプルキンエ細胞の内部の構造はよく保たれていた。細胞内小器官に高度の膨化や萎縮などの破壊を示唆するよううな所見はなかった。虚血後12時間になると、濃染するプルキンエ細胞は減少し、1日目には更に減少した。一方、細胞崩壊の所見を示さないプルキンエ細胞の総数は虚血後1日目までは有意な減少を示さず、濃染するプルキンエ細胞は、形態上で見るかぎり回復したと判断された。虚血後2日以降では、プルキンエ細胞の約25%の減少を認めた。従って、プルキンエ細胞は虚血後1日目から2日目にかけて崩壊することが明らかとなった。顆粒細胞層の神経細胞には変化が認められなかった。しかし高度に膨化した構造が散見された。これはプルキンエ細胞の細胞体と連続性があり、周囲にミエリン鞘をかぶっていることから、水胞状となったプルキンエ細胞の軸索と考えられた。その微細構造をみると軸索内の細胞骨格の破壊と膜状の細胞内小器官の集積が虚血後3時間ですでに認められた。この病変の詳細については現在検討中である。
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