研究概要 |
鶏胎児脳を用いた神経の年代培養を材料とした。大脳皮質を材料とした培養でtrypsinを使用して細分化した。(1)側頭葉(特に海馬成分)を加えた神経培養と加えない培養を行った。小脳だけの神経培養も行った。胎児脳は8ー14日目の胎児を使用した。大脳皮質を材料とした神経培養では側頭葉成分を加えた培養の方がglia細胞上での神経突起のネットワ-ク形成は心持ちよかった。しかし長期神経の維持では大きな差は認めなかった。また小脳成分では側頭葉成分は影響が余りなかった。(2)神経の同定はneurofilament(NF),neuro specific enolase(NSE)および神経の特微であるgalactocerebrosideに親和性のあるteanus toxinを利用して組織化学的に証明し培養された細胞が問違いなく神経であることを確認した。なおNFについては68K,160Kおよび68K+160K+210KのNFに対するmonoclonal抗体(Cosmo bio.)を用い,avidinーbiotin complexを利用して染色した。このNFの抗体は人対する抗体であったが、polyーLーlysineを使用して神経の純粋培養を行い、SDSーPolyacrylamidogel electrophoresis(PAGE)にて展開しWesternーbloting法にて転写させ、70K及び160K辺りに抗体反応がみられた。このためこの抗体は鶏の神経にも交叉性があると判断した。しの結果160KのNFはほとんど神経の細胞体に存在し、68KのNFは細胞体のほかに軸策、樹状突起にも存在した。NFは軸策をゆっくり移動して行くと言われているが、この事実は移動するのは68K NFである可能性を示し、また神経突起の進展や情報を伝達するための物質に必要なのかも知れない。このために今回alkaline phosphatase及びCa依存性Protease酵素を培養神経細胞に作用させ(これらの酵素は160K NFを分解したり、210K NFを脱リン酸化させる)、組織化学的に160K NF 減少を証明しようとしたが、形態的に神経細胞がやや空胞化が目だつだけで染色的には大きな変化は認めなかった。今後も神経細胞の特微や長期神経細胞の維特について、研究を続けることは脱落神経症状や痴呆の予防に役立つと考え、継続させたい。
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