研究課題/領域番号 |
63570690
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
角家 暁 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90064518)
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研究分担者 |
中村 勉 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (30064603)
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キーワード | 脊髄損傷 / 実験脊髄損傷 / MRI / Hemorrhagic necrosis / Hematomylia / Myelomalacia / Syringomyelia |
研究概要 |
私どもは、昭和63年度に脊髄損傷患者の核磁気共鳴画像(MRI)の急性期および慢性期所見について検討をした。その結果、急性期所見として脊髄浮腫が、慢性期所見としては脊髄軟化と脊髄空洞形成がMRIで描出され、さらにMRI所見と臨床的な損傷程度が相関することが判明した。しかし、このMRI所見に対応する病理組織学的所見は臨床的には容易には得られず、実験的に脊髄損傷を作製し、このMRI所見と病理組織所見とを比較検討するために本実験を計画した。 ラットの脊髄を脳血管用クリップで挟むことによって、様々な程度の脊髄損傷を作製した。これらの脊髄損傷動物の脊髄を実験用MRI撮像装置(FTMR、日本電子社製)で画像化した。このあと、動物をホルマリン灌流して固定後、脊髄を取り出し、HE(Homatoxylin & Eosin)染色し鏡検した。この結果、急性期の脊髄損傷の病理所見は程度の差こそあれ、すべて出血性壊死の所見であった。MRIではこれらの出血性壊死は高信号領域として描出され、壊死の程度が強ければ強いほどMRI上の輝度変化も強く、その範囲も大きい傾向にあった。すなわちMRIで高輝度を呈するものほど損傷の程度も重篤であることが判明した。この結果は臨床の所見とよく一致し、急性期のMRI所見が脊髄損傷の機能予後を推定する上で重要な手がかりとなることが証明された。
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