研究課題/領域番号 |
63570691
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
幸地 延夫 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20131576)
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研究分担者 |
古山 順一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30068431)
蒲 恵蔵 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70104255)
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キーワード | 癌遺伝子 / 脳腫瘍 / グリオーマ / c-myc / histo-in situ hybridization / southern blot / Northern blot / mycタンパク |
研究概要 |
63年度当研究課題の主眼は、精製された癌遺伝子cDNA probeをビオチンラベルし、histo-in situ hybridization法にて細胞形態を温存しながら癌遺伝子mRNAを組織学的に検出する、その方法論の確立と手技の熱練にあった。癌遺伝子DNAはJCRBより提供を受け、遺伝学教室を通じて安定して供給された。研究の出発点は、cーmyc mRNAを脳神経外科教室に継代されているグリオーマ培養細胞内に組織染色で証明するところから始まった。ビオチンラベルはnick translationで行い、ヒトc-myc cDNA probeはEcoR1-EcoR1断片(2.2Kb)をそのまま使い、histo-in situ hybridizationの固定条作やhybridizationの条件は中根等の方法に準じ、検出はHRP標識ABC法を用いた。グリオーマ培養細胞は、ヒト及びラット由来の5種類で、結果は全ての細胞系においてc-myc mRNAの発現を細胞内に証明し、発定した再現性を獲得することができた。P^<52>標識probeを用いたSouthern blotの結果は、ヒトグリオーマ2系では、リンパ芽球に比し1.8倍程度のc-myc遺伝子の増幅が認められNorthern blotではβ-actinをコントロールとしてc-myc mRNAの発現を確かめた。一方ラットグリオーマでは、両blot共に弱く検出され、使用したprobeかヒト由来のためhomologyの違いが弱く検出された原因ではないかと推測された。c-myc遺伝子産物に対する市販並びにロッシュ社提供の単クローン抗体で、培養細胞を免疫染色すると、ヒトグリオーマでは核が、ラットグリオーマではむしろ細胞質が染色された。 我々は、現在これらの手技を、他の癌遺伝子c-H-ras、c-erbB2、EGFRgene、V-sisにも適用し、また術中切除標本を対象として応用することを目標に、更に研究を推進中である。 以上の結果の一部は、順次、日本癌学会、ヨーロッパ神経病理学会、日本脳神経外科学会に報告した。
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