研究課題/領域番号 |
63570693
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 光三 秋田大学, 医学部, 助教授 (50004875)
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研究分担者 |
塩川 光一 秋田大学, 医学部, 助手 (10196347)
片岡 洋一 秋田大学, 医学部, 助手 (40134093)
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キーワード | 実験骨粗鬆症 / ビーグル犬 / 膵十二指腸切除 / テトラサイクリン標識 / 骨形態計測法 |
研究概要 |
〔はじめに〕本研究では卵巣摘除ラットに骨減少の危険因子を加重しその骨減少を観察することである。それらは慢性実験遂行中であるため、危険因子の一つである消化吸収障害の骨減少への関与を、これまで行ってきた膵十二指腸切除犬を用いて骨形態計測法で検討した。〔対象・方法〕ビーグル成犬10頭に膵十二指腸切除を施行しその再建法としてChild法と改良法をそれぞれ5頭に行った。改良法は胃空腸吻合にビルロートI法を用い、膵管、胆管と食道通過路の間に短い小腸係蹄を間置し、膵液、胆汁を上部空腸に流すものである。術後6ヵ月まで生存し得たChild法の2頭と改良法の3頭の計5頭にテトラサイクリンを2回投与後屠殺し、腰椎の用手研磨法による非脱灰標本を作成し、コールのH-E染色標本、未染色標本(TC用)について画像解析装置を用いて骨形態計測を行った。測定部位は椎体の辺縁部を除き、拡大率は200倍で行った。〔結果〕体重は0.5〜3kg減少し、アルカリフォスターゼ値の上昇、脂肪の消化吸収や耐糖能の障害が全例にみられ特にChild法群で高度である。血清カルシウム値もChild法群で低下の傾向にある。骨形態計測の結果、単位骨量や平均骨梁幅はそれぞれ20.3±3.8(SD)(%)、90.1±17.5(μm)と特に減少はしなかったが、Child法の1例で著減し骨梁の細小化もめだった。分画吸収面は20.9±3.5%と増加し、分画形成面は10.8±7.0(%)で減少傾向にある。テトラサイクリン分画一重標識面は10.6±2.2(%)、分画二重標識面は5.5±4.7%でやや減少傾向にあり、2例ではきわめて減少していた。石灰化速度は0.75±0.48(μm)/日と遅延し、1例では二重標識がなく測定不能であった。平均類骨層幅は4.2±1.3(μm)と明らかに菲薄化している。〔結語〕膵十二指腸切除による骨リモデリングへの影響をみた結果、6ヵ月間では骨量の明らかな減少はなく、軽度の石灰化障害を明らかな類骨形成の低下がみられたことから長期効果として骨量減少が予想される。
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