研究課題/領域番号 |
63570697
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
井村 慎一 福井医科大学, 医学部, 教授 (90019886)
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研究分担者 |
竹谷 英之 福井医科大学, 医学部, 助手 (90206996)
奥村 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (30204150)
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キーワード | セメントレス人工股関節 / 応力解析 / 有限要素法 / 環境摩擦層 / 大腿骨髄腔 / CT / ステムデザイン |
研究概要 |
セメントレス人工股関節の初期固定の獲得には、力学的に安定したインプライトのデザインが望まれる。X線像を基に大腿骨近位部の2次元モデルを作成し、月僧の開発した境界摩擦創を導入した有限要素法を用いて、ステムと骨との境界面における接触圧・大腿骨皮質骨の応力分布およびステムの変異量について解析した。ステムの長さは髄腔狭部下端付近にとどまるもの、太さは髄腔占拠率の高いもの、テ-パ-角は髄腔狭部内ではより小さいものが、接触圧が分散化し皮質骨のストレスシィ-ルディングが減少した。また正常例と末期変股症例の髄腔モデルに対して同一タイプのセメントレスステムを挿入した際、応力分布に明らかな差がみられた。以上よりセメントレスステムの力学的固定性は大腿骨近位部の髄腔形状に大きく影響されることか示唆された。 そこで力学的に固定性の良好なステムデザインを決定するために、股関節CT画像を用いて大腿骨近位部髄腔形態を測定した。対象は正常群19例34間接、変股症群27例44間接である。正常群ではオフセット値、小転子下端から狭部までの距離、狭部の前後径・横径・面積、近位内側部の曲率半径は、大腿骨長に対し正の相関を示し近位部髄腔には一定のproportionalityが得られた。一方変股症群では大腿骨長に相関を示したのは近位内側の曲率半径、小転子より狭部までの距離のみであった。Off set値(p<0.05)、狭部の前後径・横径(p<0.02)は変股症群が正常群に比して有意に小さく、前捻角(p<0.01)、頸体角(p<0.01)は変股症群が有意に大きかった。テ-パ-角は両者間に有意差はなかった。2次性変股症に対するセメントレス人工股関節ステムは、これら大腿骨近位髄腔のばらつきに対応できるデザインとサイズを有するものが必要と考えられた。
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