正常のヒト及び家兎脊髄神経根の解剖学的比較研究を(1)肉眼レベル、(2)光学顕微鏡、(3)透過型電子顕微鏡、(4)走査電子顕微鏡を用いて検討した。 その結果として得られた知見としては、 I)脊髄神経根結合繊性被膜は、構築学的には、ヒトも家兎も本質的に変わるところはない。すなわち末梢神経の神経外膜は、神経根部では硬膜に移行し、神経周膜の外層はクモ膜に、内層はroot sheethに移行する。 II)相違点としては、家兎脊髄神経根は (1)脊髄神経節が脊髄のかなり近傍にあること。 (2)クモ膜やroot sheathは層が薄く、arachnoid villiの発達が悪い。 (3)クモ膜下腔が狭い。 (4)神経根内の動脈分布は、ヒトと比較して数は少ない。 以上のことより、神経根の栄養、代謝に関しては、家兎の場合は、ヒトに比して血行よりも脳脊髄液に依存する程度がやや強いことが示唆された。
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