研究課題/領域番号 |
63570704
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
蟹江 良一 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80080000)
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研究分担者 |
鈴木 洋 名古屋市立大学, 医学部, 研究員
稲本 正博 名古屋市立大学, 医学部, 研究員
杉本 勝正 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10206427)
今泉 司 名古屋市立大学, 医学部, 講師(非常勤) (70080033)
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キーワード | 関節の加齢変化 / 関節軟骨の変性 / 関節軟骨の老化 / 軟骨細胞内変性物質 / 軟骨細胞破壊 / 変形性関節症軟骨所見 / 破壊軟骨細胞破片 |
研究概要 |
運動器の加齢変化の中心的役割としての関節組織につき、中でも最も早期からその変化を認めるとされている関節軟骨に関して、従来より続けてきたわれわれの基礎的研究の結果をもとに、とくに軟骨組胞とその周辺基質の変化を、変性という観点から考究し、従って高齢材料により細胞変性、壊死、崩壊、周辺基質への影響、破壊への過程を、一層詳細に観察することを目的とした。さらに軟骨以外の関節構成体、とくに関節色、滑膜、筋肉の変化も検討した。そのために、老齢ラット及び老人の、また対比として変性疾患の代表としての変形性関節症の手術時採取材料を用いて、電顕及び光顕的に検討した。その結果:老齢軟骨細胞内には変性物質と考えられる雲絮状物質が胞体の大部分を占める様になり、破壊寸前の様想を呈するものから、すでに細胞膜に破綻を生じ、細胞周囲に点状物質が放出され、散在するものや、ひいては細胞の形状をとどめないものまで種々相が認められ、壊死、崩壊の一連の過程を理解し得た。細胞周囲の点状物質については、軟骨細胞小窩の外側にこれと接してみられ、細胞との間にある隔りをもって離れて局在するものが多い。高倍率観察でこれらは種々の形態をとり、膜で包まれたものやライソゾーム様のもの等もみられ、その細胞自体の由来よりむしろ、他の破壊細胞の破片が基質中に浸潤、移動し、近くの小窩周辺に集合したものと思われる。そして基質の不均等な粗造化や組織化学的染色態度に変化がみられ、基質(プロテオグリカン)の破壊を生じるライソゾーム中の分解酵素の作用等も考慮される。これらの所見は若年期の軟骨ではみられない。変形性関節症の細胞でも比較的類似するが、基質中の膠原原線維の様相は、単なる加齢とはやや異なるようである。筋肉における萎縮所見や関節色の線維化所見の差違等を今後さらに検討し、関節老化の本態とさらにその予防策にまで研究を進めたい。
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