本研究の目的は、側彎症変形矯正のための固定領域の短縮化の可否、そのための新しい脊柱内固定法の試作、矯正固定する最も良い時期の検討にある。 生後4週から8週の家兎36羽を用い、その片側第9〜第12肋骨横突起間関節を切離する事により、30羽84%で切離側凸の側彎変形を作製する事ができた。側彎は全例とも、切離部の頭側端を頂椎とする彎曲であった。 生後4週の幼若例で作製した側彎は、手術後7〜10日で生じ、その後の角度の進行は少なかった。平均Cobb角26度であった。生後6〜7週で作製した側彎は、手術後1〜4週で生じ、成長にともない、角度が増加する例が4週例に比べて多くみられた。平均Cobb角は34度であった。側彎例の内、約70%で手術部より頭側の上位胸椎に代償性彎曲が生じたが、その出現の時期に4週例、6〜7週例で有意差はみられなかった。 側彎症矯正手術は3種類の固定範囲で行った。椎弓後面、棘突起基部、棘突起をはさみ込む形の内固定具を作製した。固定範囲は、A、一次彎曲全域、B、頂椎部より尾側部のみで2椎間ずつ固定、C、頂椎より尾側のみで一椎間ずつ固定である。矯正後6週の経過観察で、A(6例)の矯正率72%、B(12例)64%、C(12例)58%であったが、頂椎部の尾側側だけ矯正固定する群でも、頭側側のたち直り矯正が出現した。BC群の間の有意差については症例数が少く、言及できないが、一椎間が変形しうる程度には限界がある事が明らかに示され、側彎変形手術治療における可及的小範囲の矯正法の可能性が示された。
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