研究課題/領域番号 |
63570712
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
吉沢 英造 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (60084555)
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研究分担者 |
宮地 雅也 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助手
小林 茂 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助手
中井 定明 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助手
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キーワード | 神経根 / 脊髄 / 解剖学的構造 / 血流 / 酸素分圧 / 髄液流 / 圧迫障害 / 塩酸エペリゾン |
研究概要 |
(1)脊髄栄養血管が髄内に侵入するVirchowーRobin Spaceには軟膜深層組織に由来する粗な膠原線維綱があり、これが髄内深部の終動静脈にまで達していることが形態的に明らかにされ、脊髄実質が髄液に浸されていることが証明された。(2)脊髄の酸素分圧は灰白質が白質の2倍と高く、髄液の酸素分圧は更に高値を示すことが解った。(3)上位で硬膜絞扼を施し、髄液停滞を生ぜしめると、髄液停滞域にある脊髄と髄液の酸素分圧は低下を示すが、髄液の酸素分圧が除々に低下するのに対して髄内酸素分圧は停滞直後から低下し、停滞中不変で、その下降の程度は灰白質でより顕著であった。髄液停滞1時間後に硬膜絞扼を解除すると、白質の酸素分圧は比較的すみやかに元に復したのに対し、灰白質では回復をみず、髄液の酸素分圧はその後も終了時間にわたって低下しつづけ、灰白質と髄液の酸素分圧が元に復するのには5時間を要した。 (4)胸部大動脈遮断により腰髄部血流は直ちに著明な低下を来たし、上行性及び下行性の脊髄誘発電位は著明な振巾の減少と潜時の延長を生じ、30分で遮断を解除すると脊髄誘発電位が比較的速やかに元に復したのに対し、脊髄特に灰白質の血流量は解除後1時間経過しても低値にとどまった。(5)神経根被膜は菲薄で容易に髄液を透過させ、神経根内膜はくも膜下腔と交通していることが証明された。また神経根内毛細血管は連続型で血管神経関門がしっかりしているものの、30g以上の神経根圧迫でこの関門は破綻し、浮腫を生ずることがEvans blue albuminとhorse radishの注入実験で明らかになった。(6)末梢血流改善作用があるとされる塩酸エペリゾンは、1mg/kg投与では神経根血流に変化なく、3mg〜5mg/kgの投与で明らかに神経根血流の増加、10mg/kgで逆に低下が生ずることが水素クリアランス法を用いて証明された。
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